久須美疎安

一とせ、休、雪の暁、葭屋町の宅より蓑笠きて紹知の所へたずねられしが、露地に入りて、みの笠ぬぐとて、紹知迎えに出たれば、千鳥の香炉に火の取りたるを「これ、紹知」とて、右の袖より渡せば、紹知、左の手にうけとり、「私も懐中候」とて、右の手より香炉をわたす。休、はなはだ入興せらるると也。